本書は、「(し)そうだ」を対象に、元来「様態」を表す用法から断言を控えた「非断定的表現」へと派生した言語現象に注目し、文章や談話における使用状況を考察し、その背景にある語用論的要素を明らかにしようとするものである。情報のなわ張りおよびポライトネスのフェイスの概念を援用し、語用論的な観点から非断定的表現のしくみを解明し、また、コーパス検索を通して、「(し)そうだ」の用例分析を行う。命題の属性と話者の発言権、表現意図と発話機能、構文という三つの側面から考察すると同時に、「(し)そうだ」が非断定的表現として使用される際に共起しやすい表現や典型的な用法も整理し、その分類モデルを立ち上げる。更に、「(し)そうだ」の機能分類により教材分析を行い、日本語教育への提案も試みる。
本書以日文「(し)そうだ」為對象,著眼於由「様態」用法所衍生出的「非斷定表現」語言現象,考察其文章及談話中的使用狀況,並闡明語境中所存在的語用論要素。筆者運用Territory of Information以及Politeness Theory的概念,採用語用論的觀點來解析非斷定表現的架構;同時,透過語料庫檢索,針對「(し)そうだ」進行語例分析,從「命題の属性と話者の発言権」、「表現意図と発話機能」、「構文」三個層面考察,歸納出「(し)そうだ」的典型用法及使用語境,進而建構非斷定表現的分類模型。此外,亦根據「(し)そうだ」的機能分類進行教材分析,提出具體的日語教學提案。